PE2(IBM Personal Editor II)とは?基本の定義
PE2は正式名称を「IBM Personal Editor II」といい、1980年代にIBMが開発・販売したテキストエディタ(文書編集ソフトウェア)です。
「テキストエディタ」とは、プログラムのソースコードや設定ファイル、文書など、文字データを入力・編集するためのソフトウェアのこと。今でいう「メモ帳」や「Visual Studio Code」などの祖先にあたる存在です。
PE2は、当時主流だったパソコン用OSの「PC-DOS」や「MS-DOS」という、文字ベースのオペレーティングシステム上で動作しました。マウスが一般的でなかった時代に、キーボード操作を中心にテキスト編集を行うためのツールとして、多くのユーザーに使われました。
なぜPE2は広く使われたのか?その普及理由
PE2が特に広く使われるようになったのは、台湾や中国大陸などの中文(繁体字中国語)圏においてです。
当時の多くのテキストエディタは英語圏向けに設計されており、漢字(中文)を扱うには特別なシステムや設定が必要でした。しかしPE2は、中文システムと容易に連携できる設計になっていたため、2バイト文字である漢字の表示や入力が比較的スムーズに行えました。
この中文対応の利便性から、台湾では業務用の文書作成やプログラミングの現場で標準的に使われるエディタとなり、多くのユーザーに親しまれました。
PE2の主な特徴
全画面編集が可能
PE2以前のエディタは、行単位で編集を行う「ラインエディタ」が主流でした。PE2は「全画面編集」をサポートしており、画面上で自由にカーソルを移動させながら文書を編集できました。現在のエディタと同じ感覚で使えるという点で、当時は革新的でした。
マルチウィンドウ・マルチファイル対応
PE2は同時に最大4つのウィンドウを開くことができ、さらに最大20個のテキストファイルを同時に編集できる機能を持っていました。複数の文書やプログラムを切り替えながら作業したい場面で、大きなメリットとなりました。
マクロ(巨集)機能
PE2には「マクロ(巨集)」機能が搭載されており、ユーザーが頻繁に行う操作を定義して、キー操作ひとつで実行できるようにできました。これにより、作業の効率化やカスタマイズが可能だったことも、上級ユーザーに支持された理由のひとつです。
キー定義のカスタマイズ
PE2では、各キーに割り当てる機能をユーザー自身が定義し直すことができました。自分好みの操作体系に変更できる柔軟性が、長期間使い続けられるツールとしての評価につながりました。
PE2の構成ファイル
PE2のソフトウェアは主に以下の3つのファイルで構成されていました。
- PE2.EXE:エディタ本体の実行ファイル
- PE2.HLP:ヘルプファイル
- PE2.PRO:プロファイル(設定ファイル)
これらのファイルが揃っていれば、フロッピーディスクからでも簡単に起動して使える手軽さも、普及の後押しをしました。
PE2のメリットとデメリット
メリット
- 操作が比較的シンプルで、入門用のテキストエディタとして学びやすかった
- 中文(繁体字中国語)環境で安定して動作し、漢字の表示・入力が容易だった
- キー定義のカスタマイズが可能で、自分好みに調整できた
- フロッピーディスクから起動できる軽量さがあった
デメリット
- マウス操作に対応しておらず、すべてキーボードで操作する必要があった
- 編集コマンドが多く、すべて覚えるには慣れが必要だった
- 現在のグラフィカルなエディタと比べると、視覚的なわかりやすさに欠ける面があった
PE2が向いていたユーザーと向いていなかったユーザー
向いていたユーザー
- 中文(漢字)を含む文書を日常的に扱う事務職やプログラマー
- DOS環境でテキスト編集を行う必要があったビジネスユーザー
- キーボード操作を中心に効率的に作業したい人
向いていなかったユーザー
- マウス操作を前提とした直感的なエディタを求める人
- グラフィカルな表示やリッチな編集機能(画像挿入など)を必要とする人
PE2と関連ソフトの比較
PE2は初代「PE(Personal Editor)」の後継バージョンとして登場しました。その後、さらに機能を拡張した後継バージョンとして「PE3」も開発されています。
また、PE2と同じ時代には、「漢書」や「慧星一號」といった、台湾や中国で使われた中文対応エディタも存在しました。これらはPE2と同様に、中文システムと連携できる点が共通していましたが、それぞれに独自の操作体系や拡張機能を持っていました。
PE2を現代で使う場合の注意点
PE2は1980年代に開発されたソフトウェアであり、現在のWindowsやmacOSといった最新のオペレーティングシステムではそのまま動作しません。また、IBMによるサポートも既に終了しています。
もしPE2を実際に動かして体験したい場合は、DOSエミュレータや仮想マシン上でMS-DOS環境を再現する必要があります。あくまでレトロソフトとしての興味や、コンピュータ史の学習が目的の範囲での利用になるでしょう。
まとめ:PE2の歴史的意義と価値
PE2(IBM Personal Editor II)は、1980年代にIBMが開発したDOS向けテキストエディタです。全画面編集やマルチウィンドウ、マクロ機能など、当時としては先進的な機能を備え、特に中文環境での使いやすさから台湾や中国で広く普及しました。
現代のテキストエディタと比べれば機能面では制約が多いものの、その後のエディタソフトの基礎となるコンセプトを多く含んでいた点で、コンピュータの歴史における重要なソフトウェアのひとつです。
現在では実用的なツールとしては使われていませんが、テキストエディタの進化を振り返る際には欠かせない存在であり、レトロなソフトウェアに興味がある方にとっては、知っておいて損はない歴史的なソフトウェアと言えるでしょう。

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