釣りを始めたばかりの頃、仕掛けのパーツで「これ、本当に必要なのかな」と悩んだものの代表格。それが「天秤」じゃないでしょうか。でも実は、天秤こそ釣果を大きく左右する縁の下の力持ちなんです。今回は船釣りからちょい投げまで、天秤の選び方とおすすめをご紹介します。
天秤って何のためにあるの?
天秤の役割は、大きく分けて三つ。
一つ目は「仕掛けと道糸の絡み防止」。オモリとハリスを物理的に離すことで、キャスト時や海中での仕掛けの回転による糸絡みを防いでくれます。
二つ目は「アタリの伝達」。オモリとハリスの位置関係を固定することで、魚が餌をついばんだ微細な信号を穂先まで逃がさず届けます。
三つ目が「根掛かり回避」。海底からハリスを浮かせることで、根魚狙い以外では余計な根掛かりを減らす効果があります。
釣り方によって最適な天秤はまったく違うもの。次の章から、具体的な選び方を見ていきましょう。
まずは形で選ぶ!天秤の基本タイプ4種類
天秤選びで最初に悩むのが「形」。釣り道具屋の棚にずらりと並ぶ天秤を前に、どれを手に取ればいいかわからない。そんな声をよく聞きます。代表的なタイプはこの4つです。
弓型天秤
最もオーソドックスな形。しなやかなステンレス線が弓なりに曲がっていて、その弾力で魚の違和感を吸収してくれます。コマセカゴを使った船のマダイ釣りや、飲ませ釣りで大活躍。食い込み重視ならまずこれ、と覚えておいてください。ヤマシタのライトテンビンは、アジやイサキなどのライトゲームで定番中の定番です。
ストレート天秤
その名の通り、真っすぐな一本線の天秤。余計なクセがなく、魚の引きをダイレクトに感じられます。感度重視の釣りにうってつけで、特にタチウオ釣りでは鉄板アイテム。ダイワの快適天秤マルチは黄色いパイプが目印で、夜釣りでも視認性抜群。タチウオテンヤとの相性も良いです。
L型天秤
海底にオモリを着底させ、ハリス部分だけを浮かせる構造。砂底を重点的に探るカレイやキス釣りに最適です。投入時の糸絡みが少ないのも地味にうれしいポイント。ただ、感度はストレートや弓型に一歩譲ります。
立つ天秤
海底で立ち上がる構造で、ハリスを底から大きく浮かせる設計。ヘドロの多い場所や、根掛かり多発地帯で真価を発揮します。ハヤブサの立つ天秤 スマッシュはコンパクトに折り畳めて持ち運び便利。キスやカレイのちょい投げで絶大な支持を得ています。
船釣りでの天秤選び、ここが決め手
船釣りは天秤の性能がモロに釣果に出ます。なぜなら、水深数十メートルの世界で起きていることを、手元の竿で感じ取らなければいけないからです。
食い込み重視なら「長め」を選ぶ
天秤の全長が長いほど、オモリとハリスの距離が開きます。これが何を意味するか。魚が餌をくわえたとき、オモリの重さを感じにくくなるんです。警戒心の強いマダイやクロダイ狙いでは、ちょっと長めかなと思うくらいでちょうど良い。ただし長すぎると竿先に絡みやすいので、竿の長さとのバランスを見てください。
アタリを取るなら「細軸」が有利
太い線材の天秤は頑丈ですが、そのぶん感度が落ちます。逆に細軸はアタリの伝達が鋭い。対象魚のサイズに合わせて線径を選ぶのがセオリーです。アジやイサキなら細軸、ワラサやブリのような大型青物なら太軸と使い分けましょう。ヤマシタの船テンビンK型は太軸設計で、大物とのやり取りにも安心感があります。
遊動式か固定式か
天秤には、道糸が天秤の中をスライドする遊動式と、固定されている固定式があります。遊動式は魚が餌をくわえて走り出したとき、オモリの重さを感じさせずにアワセのタイミングを作れます。初心者にも扱いやすく、違和感なく飲ませたい釣りに向いています。一方、固定式はアタリが明確で、掛けに行く釣り向き。イカメタルやティップランでも固定式が使われます。
投げ釣り・ちょい投げで使う天秤のコツ
波止場や砂浜から気軽に楽しめる投げ釣り。ここでも天秤選びで釣果が変わります。
遠投したいなら「弓型」か「L型」
キャスト時の空気抵抗を減らすには、オモリと一体になって飛ぶ形状が有利。弓型天秤はしなりによってキャスト時のブレを吸収し、L型もコンパクトにまとまるので遠投向きです。
根掛かりが多い場所は「立つ天秤」一択
テトラ周りやゴロタ場、藻の多いエリア。そんな場所で数投ごとに根掛かりしていたのでは、釣りになりません。海底で立ち上がりハリスを浮かせる立つ天秤なら、根掛かりを大幅に減らせます。ダイワのアームシンカーはオモリ形状のバリエーションが豊富で、砂地から岩礁帯まで幅広く対応。ちょい投げの万能選手です。
カレイ狙いなら遊動式L型が鉄板
カレイは砂底に張り付くように定位し、落ちてくる餌を捕食します。L型天秤でハリスを底から数十センチ浮かせることで、カレイの視認性が格段にアップ。遊動式にしておけば、カレイが餌をくわえて移動した瞬間に竿先でわかります。
ちょっとマニアックだけど知っておきたい自作の話
「自分で天秤を作ってみたい」という声を、釣具店でよく聞きます。実は天秤の自作は意外と簡単で、コストもぐっと抑えられます。
ホームセンターで売っているステンレス線(1.0〜1.5mm径が扱いやすい)を用意し、ペンチで好みの形に曲げていくだけ。弓型なら丸い棒に巻き付けて成形し、端に輪を作ってスイベルを取り付ければ完成です。材料費は市販品の数分の一。細かくサイズや硬さを調整できるので、自分だけのマイ天秤を作る楽しみもあります。
ただし、あまり細すぎる線材を使うと大物が掛かったときに変形したり折れたりするので、対象魚に合わせた線径選びだけは慎重に。
シチュエーション別おすすめ天秤まとめ
最後に、よくある釣り方別にぴったりの天秤をおさらいしましょう。
船のアジ・イサキ
感度重視でヤマシタライトテンビンの細軸タイプ。遊動式で食い込みもバッチリです。
船のマダイ
弓型で長めの天秤を。ダイワ快適天秤アーチは独自のアーチ形状で、シャクったときに餌が跳ね上がりやすく、マダイのスイッチを入れやすい設計です。
船のタチウオ
ストレート天秤一択。ダイワ快適天秤マルチが視認性・使い勝手ともに優秀です。
投げ釣り(キス・カレイ)
砂浜ならL型、ゴロタ場なら立つ天秤。ハヤブサ立つ天秤 スマッシュは携行性も良く、ちょい投げの強い味方になります。
大物狙い全般
ヤマシタ船テンビンK型のような太軸弓型。信頼感が違います。
天秤ひとつで、アタリの出方が変わります。根掛かりのストレスが減ります。そして何より、釣れる魚の数が変わります。「たかが針金」と侮らずに、ぜひこだわってみてください。釣り場でニヤリとできる場面が、きっと増えますよ。

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