「このカラーがあったら絶対釣れるのに」
「市販のルアーって、なんでこんなに高いんだろう」
釣りをしていると、そんな歯がゆい思いをしたこと、ありませんか?僕自身、何度も同じことを考えて、気づいたら工具を握っていました。
自作釣り道具の世界は、思っているよりずっと敷居が低いんです。しかも、自分で作ったルアーで魚が釣れたときの感動といったら、もう格別。市販品へのちょっとした不満が、新しい趣味の入り口になるかもしれません。
今回は、初心者でも失敗しにくい作り方から、先輩アングラーたちが密かに実践しているカスタマイズのコツまで、包み隠さずお伝えします。
なぜ今、自作釣り道具なのか
市販ルアーの値上げが続いていること、そして何より「自分の理想を形にしたい」という声が増えていること。この二つが、DIYルアー人気の背景にあります。
実際、アメリカではB.A.S.S. Eliteシリーズで優勝経験のあるプロアングラー、Pat Schlapperも「特定のシチュエーションに合わせてカラーやフックサイズをカスタマイズできることこそ、自作の最大の武器だ」と語っています。プロですら自作に価値を見出しているんです。
初心者が陥りがちなのが「独創的な形を作らなきゃ」という思い込み。でも、最初に目指すべきは市販の実績パターンを真似ることです。形は王道、色は自分好み。これだけで十分釣れます。
最初に挑戦したいルアー別・作り方の基本
スプーンは「不要なティースプーン」から始まる
金属加工と聞くと身構えますが、スプーンルアーは驚くほど簡単。自宅のカトラリーを見直してみてください。使っていないティースプーンが一つくらいあるはずです。
- 柄の部分を金ノコでカット
- 両端にドリルで穴を開ける
- 片方にスプリットリングとフック、もう片方にラインアイを取り付ける
たったこれだけ。材料費は実質ゼロです。市販品なら1000円前後するものが、15分もあれば完成します。アクションは実際に水に浸けて確認しながら、微妙に曲げて調整するのがコツです。
ソフトプラスチックは色遊びが最高に楽しい
ワームやクローベイトなどのソフトプラスチックは、型に液体プラスチックを流し込んで加熱する方式。材料キットが各社から販売されていて、専用の液体プラスチックに好みのカラーやグリッターを混ぜるだけで、世界に一つだけのワームが量産できます。
材料費は1個あたり10円以下。市販品の10分の1です。塩の配合量で沈下速度を変えられるのも、手作りならではの強み。フォールスピードを自在にコントロールできるようになると、釣りの幅がぐっと広がります。
注意点は換気です。加熱時に化学物質のガスが発生するため、必ず窓を開けて作業してください。
自作ルアーでありがちな「困った」を解決する
塗装がすぐ剥がれる問題
これ、DIYルアーで最も多い悩みです。原因は下地処理の不足か、コーティングの甘さ。
木製ルアーの場合、塗装前に防水シーラーを塗って24時間完全乾燥させること。そして仕上げのUVレジンまたはエポキシ樹脂によるコーティングは絶対に省かないでください。この一手間で耐久性が段違いになります。
「面倒だな」と思ったら、最初から塗装不要の素材選びもアリです。派手な柄のEVAスリッパをカットして、そのままマンデュラバグに仕立てる猛者もいるくらいですから。
せっかく作ったのに釣れない問題
形や色にこだわりすぎると、意外と釣れないもの。基本はシルエットと波動です。
実績のある市販ルアーを横に置いて、まずは同じ寸法で作ってみる。慣れてきたらカラーアレンジ、次にブレードの追加やアイの位置変更など、一段ずつ自分好みに寄せていきます。最初から全部オリジナルにすると、釣れなかったときに原因が特定できません。
結局材料費が高くつくのでは問題
専用モールドやエアブラシなど、設備投資を始めると確かに回収に時間がかかります。だからこそ、最初は最小限で。
たとえばスピナーベイト。材料費は30円程度で、市販品なら4ドル以上するものと同等品が作れます。ジグヘッド用の型はがまかつやオーナーばりから手頃なものが販売されています。まずは「スプーン」と「ソフトプラスチック」の二本柱で始めて、ハマったら徐々に道具を増やしていくのが賢い入り方です。
先輩アングラーたちの創意工夫から学ぶ
海外のフォーラムで見つけた実例が秀逸だったので紹介します。深海魚のランタンフィッシュを模したスプーンの制作過程です。
まず木に目玉部分を彫り込み、全体をアルミフォイルで包む。鱗模様はシワ加工で表現し、光る部分に蓄光塗料をスポット塗装。最後にUVレジンで厚めにコーティング。暗闇で仄かに光るそのルアーは、夜釣りで驚異的な集魚力を発揮するそうです。
ここまでやらなくても、ヒントはたくさんあります。たとえばアルミフォイルのダクトテープ。金属光沢を簡単に再現できて、シワを入れれば鱗模様にもなる。ホームセンターで手に入る材料で、表現の幅は想像以上に広がります。
壊れたルアーは「素材」に変わる
もう一つ、ベテラン勢が当たり前にやっていること。それはリペア&リユースです。
ちぎれたワーム同士を専用接着剤で溶着して新しい形状のルアーを作る。フックが錆びたジグヘッドはペンチで外して、自作のソフトプラスチックと組み合わせる。市販ルアーの傷んだ塗装を剥がして、自分で塗り直す。
ゴミになるはずだったものが蘇る感覚は、なかなかクセになります。環境にも優しい、良いことずくめです。
道具を揃えるならここから
「まず何を買えばいいの?」という声が多いので、優先度順に素材を挙げておきます。
- ソフトプラスチック液:これがないと始まらない。各社のキットなら必要な物が一通り揃う
- 3Dアイ:UVレジンで接着すれば水中で剥がれにくく、魚っぽさが一気に増す
- 蓄光塗料:深海魚パターンや夜釣りで効果大
- スプリットリング&フック:消耗品なので多めに持っておく
本格的に勉強したい人には、『Lurecraft: How to Make Plugs, Spinners, Spoons, and Jigs to Catch More Fish』(Fox Chapel Publishing)がおすすめ。木材・金属・ワイヤーの加工から誘引理論まで、一冊で必要な知識が網羅されています。
さあ、最初の自作釣り道具を作ろう
完璧を目指さなくていいんです。まずは家にある不要なスプーンを探すところから。あるいは、スマホで「ソフトプラスチック キット」を検索して、気になるカラーをポチるところから。
自分で作ったルアーが水の中で動いた瞬間、そしてそれに魚が反応した瞬間の興奮は、体験した人にしかわかりません。市販品では味わえない、釣りという趣味のもう一つの扉が、そこには開いています。
最初の一匹が、あなたを待っています。

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